対象の病気と手術方法

2-1.心臓弁膜症


▲心臓の断面図

心臓がポンプとして働くために、心臓の中には4つの弁があります。これらの弁が、硬くなって血液が通過しづらくなる“狭窄症”や、逆流してしまう“閉鎖不全症”を一般的に心臓弁膜症といいます。 心臓の中で、全身に血液を送り出すポンプとしての役割を果たす左心室、その入り口にある弁(僧帽弁)と出口にある弁(大動脈弁)が、おもに手術の対象となります。

2-2.大動脈弁膜症

心臓の中で、全身に血液を送り出すポンプとしての役割を果たす左心室、その出口にある弁(大動脈弁)の病変を大動脈弁膜症といいます。
高齢化社会の進行に伴い、近年増加しているのが、高齢者の大動脈弁狭窄症(大動脈弁が硬くなって動かなくなる弁膜症)です。大動脈弁狭窄症により、胸が痛くなったり、意識を失ったり、息苦しくなることが知られていますが、最悪の場合、突然死をきたすこともあります。ひとたび症状が出現した場合は、生命予後の悪い(長生きができないということ)病気であり、早期の手術が必要となります。
手術は、人工弁を用いた大動脈弁置換術を基本としています。近年は、80歳以上の超高齢者に対する大動脈弁置換術が増加しています。
大動脈弁の逆流をきたす疾患を大動脈弁閉鎖不全症といいます。この病気は、自覚症状が出現しにくいことが特徴ですが、自覚症状のある場合、また自覚症状がなくても心臓が拡大傾向にある場合、心臓の機能が低下している場合が手術適応となります。手術は、大動脈弁狭窄症と同様に、人工弁を用いた大動脈弁置換術を基本としています。
人工弁には、2つの種類があります。一つは、セラミックカーボンでできた機械弁、もう一つはウシの心膜やブタの弁でできた生体弁です。各々の弁には、長所、短所がありますので、事前に患者さんにそれらを説明、相談をしていずれかの弁の使用を決定しています。 また、大動脈基部が拡張することにより大動脈弁逆流をきたす大動脈弁輪拡張症という疾患があります。本疾患に対しては、冠動脈再建を伴う大動脈基部置換術をおこないますが、当院では、自己弁を温存した大動脈基部置換術にも積極的に取り組んでいます。


▲手術で使用する機械弁、生体弁、リング(左から)

2-3.僧帽弁膜症

心臓の中で、全身に血液を送り出すポンプとしての役割を果たす左心室、その入り口にある弁(僧帽弁)の病変を僧帽弁膜症といいます。
僧帽弁に逆流をきたす病気を僧帽弁閉鎖不全症といいます。僧帽弁の逆流により、息切れなどの自覚症状がある場合、また自覚症状がなくても心臓が拡大傾向にある場合、心臓の機能が低下している場合が手術適応となります。
僧帽弁閉鎖不全症に対しては、僧帽弁が硬くなってしまった場合以外は、基本的に弁形成術(自分の弁を利用して弁を修復すること)が可能です。弁の逸脱病変(弁の一部がまくれかえって逆流が起こること)に対しては、弁の病変部分を切除する方法と、ゴアテックス糸による人工腱策をつけて弁を支える方法を基本としています。さらに、弁輪部の補強のためにリングを縫い付けます。
僧帽弁が硬くなり動きが悪くなる僧帽弁狭窄症に対しては、基本的には人工弁を用いた弁置換術の適応となります。大動脈弁膜症の場合と同様に、人工弁には機械弁と生体弁の2つの種類があります。

2-4.心房細動手術

心臓弁膜症(特に僧帽弁膜症)は、心房細動という不整脈が合併することがあります。心房細動は、心臓の中に血栓(血の塊)を形成することにより、脳梗塞などを発症するリスクを増加させることが知られています。すべての場合ではありませんが、心房細動を手術により治療することも可能です。
当院では、心臓弁膜症手術における同時手術として、心房細動手術も積極的におこなっています。

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